里親さんになっていただくために:1 避妊手術について
こんばんは。
今日うちにきた若者と、そのべんきょうの邪魔をする、じゃなくて和み要素として手伝う、七草せりちゃんと七草なずな。
昨日の記事の続きです。
今日は「1)避妊手術」についてもう少し詳細をお話しします。
まずはこちらの猫写真をごらんください。
先日ワクチンを打って、半日がおっていた せり&ごぎょうです。
左のごぎょうちゃん、女の子だと思ってたんですが、停留睾丸の男の子でした。
停留睾丸とは、睾丸が降りてこなくて体のもっと内部に留まっている状態のことです。
この写真ではいまいちわかりにくいですが、丸い睾丸が、ない。
比較写真。七草すずしろのまるまるとしたとってもわかりやすい睾丸です。これが普通です。
写真を撮ろうとしたら七草すずなが「はしたない」と乱入してきました。
七草きょうだいは、あらためて調べてみたら、
すずしろ=立派な睾丸
なずな =睾丸が小さい
すずな =ほぼ停留睾丸
ごぎょう=完全に停留睾丸
でした。
停留睾丸の場合、からだのどこにでも停留する可能性があって開いてみないとわからないそうなんですが(『くるねこ』情報)、そしてそういう場合は去勢手術をするために大袈裟な開腹手術になることがあって猫さんが大変なんだそうですが、ごぎょうちゃんはさいわい、触ってわかるほどすぐそこにタマがあるので、手術をするのにも問題はなさそうです。
このまるまるふわふわとした睾丸は猫飼いの保護心を煽るというか、「こんなにかわいいのにとらないといけないのか」というお声は、けっこう聞きます。
そこでこのタマを取らないとどんなことがあるのかというと。
(1)
当然ながら、発情します。オスはメスのフェロモンで発情するので、発情期のメスがいないと論理的にはオスは発情しません。しかしフェロモンは化学物質なので、遠くまで飛散します。「うちにメスいないから大丈夫」というわけにはいきません。
発情すると、オスメスともに落ち着きがなくなり、外に出ようとします。脱走なんかされた日には、よそでオス同士が喧嘩し、野良さんから重篤な病気をもらったり、ひどい怪我をして傷が広がったり、追いやられて帰れなくなったり、周囲を気にせず走り回って事故にあったりします。「外はとにかく大変危険」なのに、発情期にはそれが倍加します。
猫には発情はストレスにもなります。ストレスは猫の大敵です。
もちろん外で野良さんと交尾してしまえば、また野良さんの赤ちゃんを増やすことになりますし、そこから病気が移ることもあります。
(2)
見た目も「おとな」になります。
オスの場合、経験則として、
・睾丸は大きくいかつくなる。かわいいのは子猫のうちだけ。
・顔つきがゴツくなる。
と、外見のキュートさは減ります。
近所に未去勢の野良さんなんかがいる場合には、観察してみるといいと思います。
(3)
生殖器系の病気にかかりやすくなります。
当然ながら避妊去勢していれば、それ関係の病気にはなりません。逆をいえば、とっていなければなりやすい、ということです。
避妊手術は、不幸な猫さんを増やさないために、また猫さんもにんげんも心とからだの平穏を得るために、大変重要なことです。
ふるさと納税などでも多額の支援金を得ているピースワンコという団体が、避妊手術をしてないことをだいぶ以前から指摘されています。団体側にはいろいろ言い分があるようですが、保護団体の姿勢そのものからいっても、とても理屈が通っているとも納得できるとも思えないものです。
保護猫を迎えることをお考えの方は、譲渡元となる団体や個人との相性もたまにありますので、活動状況を調べたり話を聞いたりしてみるとよいと思います。
もちろん、「この猫さんが気に入った」「自分はちゃんと避妊手術するから譲渡元の考え方は関係ない」という気持ちがあるなら、それでまったくかまいません。
しかし我々保護活動者が、猫のことを考えると残念ながら譲渡先の方々を無条件で信用はしないのと同じように、保護活動者側にも姿勢や主張が信用できない人々もいるのです。しかもそれはきわめて珍しい現象ではありません。
保護猫を、とせっかく考えてくださるなら、今後もどうぶつたちを幸せにしていくためにも、保護活動の現状を少しでも学んでいただければありがたいです。
ごぎょうちゃんは、「かわいさを写真に撮れない」典型的なひとです。
実物のほうがずっとずーっとかわいいです。
里親さん募集中です。