雑種の素晴らしき日々   ~村の猫部の村民日記~

主に猫の、保護活動と里親募集を個人で行っています。全員が元保護猫であるうちの猫ずの日常もたまにご紹介します。

あんず誕生物語・改訂版2

あんずはちょっとショックを受けて、心配になりました。ひとそろい毛皮を着て鏡を見てみると、耳がピンとしてしっぽの先の白くない猫の姿は、どう見ても猫です。一生懸命考えて選んだのに、モモに似ていないように思えます。

オイラはウサギだからやっぱりバカなのかも、としょんぼりしたあんず(うう、かわいそう)を見て気の毒になった管理人は、知恵を付けてくれました。
「あんた、ウサギの性格のままで、きゅうりを喰ってみせるといいよ。あと大きくならなければ、間違いなくウケがいいよ」
「ほんと〜? そんなことでかわいがってもらえるの???」
「信用しとけって。海外旅行以外だったらどこでも連れてってもらえるから」

あんずはウサギですから、きゅうりを喰うことに異存はありません。大きくならないというのはちょっと厳しそうですが、挑戦してみることにしました。
管理人は安い毛皮を選んだあんずにサービスとして、耳の先っぽをちょっとだけ白く染めてくれました。ヒゲも長くして、金色の目もプレゼントしてくれました。


こうしてあんずは七夕の夜、空から落ちてきました。着地に失敗してひどい目に遭いましたが、あんずを見つけたれーちゃんは、思惑通り、
「あっ、モモっぽい動物だ」
と言って、すぐさま拾って手当てをしてくれました。

モモがあんずを好きになってくれなかったのは想定外で、寂しくておっぱいが欲しくてハンストしてみましたが、病気になって入院する羽目に陥っただけでした。やっぱりウサギはバカです。
幸いだったのは、れーちゃんが貧乏なわりにどうぶつに金をかけることを厭わない性格だったことと、猫嫌いのれーちゃんのお母さんにまでかわいがられるほど人間ウケがよかったことでした。まあそういうこともあるのかもしれません。人生は予想通りにはいかないもんです。

あんずはその後、広場の管理人のアドバイス通りにきゅうりをむさぼり喰い、長いしっぽを振って、実家での評判も確立しました。おねしょ太郎であるにも関わらず、大事にされて職場に同伴出勤までできる身分になりました。大学院卒のモモにはかないませんが、大卒くらいにはなれそうです。
20100402030950



こうしてアマミノクロウサギだったあんずは、モモとれーちゃんの猫のあんずとなったのでした。
あんず、計画が成功してよかったね!! とっぴんぱらりのぷう。