雑種の素晴らしき日々   ~村の猫部の村民日記~

主に猫の、保護活動と里親募集を個人で行っています。全員が元保護猫であるうちの猫ずの日常もたまにご紹介します。

あんず誕生物語・改訂版1

最近する、金のかからない想像。あんずが生まれて来た経緯についてです。


昔むかし、モモとれーちゃんが貧乏な、でも平穏な生活を楽しんでいた頃のことでした。
ここは動物が生まれる前に、毛皮とか靴下とかしっぽとか耳とかヒゲとかを選ぶ広場です。管理人のところにはいろんなストックがあって、動物たちは順番に並んで、好きなものを選びます。

アマミノクロウサギのあんずに、おしゃべりの管理人は言いました。
「さて、今度はバニーがいいかな、それともラビットか。でもウサギパイにされないように、イギリスの田園地方はやめといたほうがいいよ」
あんずは答えました。
「うんにゃ、オイラ今回は猫になるの」

管理人はちょっとびっくりしました。
「そりゃしっぽさえ長けりゃ、今でも猫に見えんこともないけどね。何を好き好んで天敵に化けようとするのか、理解できんね。あんたの性格じゃ、猫は無理だと思うよ」
でもあんずはちょっと頑固でした。
「うんにゃ、もう拾ってくれる人は考えてあるの」

管理人は、そういうことなら、といろんな毛皮を出してくれました。
「人気はなんつってもアメショーだね。それにあんたが考えてるご主人は、アビシニアンとかロシアンブルーとかシャムとかもいいかなと実は思ってるみたいだよ」
「うんにゃ、毛皮ももう決まってるの」
あんずが選んだのは、ノンブランドのアウトレットコーナーにあった、白黒の雑種の毛皮です。アシンメトリで、右のほうが少し黒が多いようで、バランスがいいとは言えません。

さっさと毛皮を着て猫のふりをし始めたあんずを見て、管理人は、まあこんなおとなしいウサギがどうしたことだろう、とまたまた驚きました。
「そのようすだと、靴下も耳もしっぽもひげももう決まってるみたいだね」
そのとおりでした。
「靴下は白で、あえてびっこで、でも目立たないブチつきで」
ブチつきのほうがご主人にウケがいいけれど、派手なブチだとお母さんにバカにされるからです。
「耳は途中で折れ曲がったやつ。しっぽは先っぽが白くなってる、長いの」
長くないとお母さんに嫌われるからです。

すると管理人が呼び止めました。
「ちょっとちょっと。あんた、ウサギのマンガばっかり読んでたから知らないみたいだけど、猫は普通、耳は折れてないんだよ」
「えええ〜っ」
「それに長いしっぽは今、1色のしかないし」
「えええええ〜っ」

がーん。あんず、計画倒れか?! つづく。
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