奪取２

おばあさん曰く、おじいさんはどん兵衛をものすごく大事にしていて、毎日欠かさず散歩に連れて行くんだそうです。犬のほうもおじいさん相手だと、遠慮してゆっくり歩くんだとか。おじいさん本人も、それほどボケたようにも起きる体力がないようにも実際見えません。

母の情報ミスだったか……あるいは母お得意の、私を一瞬喜ばせるためのウソだったか。脱走すると家に帰らず交番に行くそうなので、どんべも私のほうがいいだろうと思ったのに。

がっかりしつつも、ボロボロに見えても嫁入り先なりに大事に思ってくれてるんだな、と納得し、計画は頓挫。モモの子どもは私のもとに帰っては来ませんでした。ああ、無念。

友人何人かから、トイプードルだのミニチュアダックスだのの情報も寄せられていますが、犬は雑種に限ります。百歩譲っても大型犬。毛唐のちっこい犬なんか論外だ。
野良犬がすっかり影を潜めてしまった昨今、猫の子のように「落ちてるのを拾う」のはなかなか難しそうですが、いつかまた巡り会えるでしょう。